―――うちはの記憶のデータの封印が、完全に解かれた。
それと伴って、ミソギの精神は崩壊した。
木ノ葉から専門の医療忍者が来るまで、オレがミソギの面倒を見ることになった。

おかずをオレの口に含み、よく噛んでから口移しで食べさせる。
全ての機能が低下してしまったミソギは、常にベッドの上だ。
一日が長い。あの明るかった彼女を返せ。
誰に当たってもしょうがないのは分かってる、毎日クラスの奴らと喧嘩の日々。
帰ってくれば人形の様な彼女がベッドの上で出迎えてくれる。
一時的にだが意識が戻り時々、オレを気遣ってくれる。
『か ぐ ら…?ま た ケ ン カ? き ず は、な い?』
「また…って、いつの話をしてんだよ。オレなら大丈夫だよ」
アハハと笑うオレ。突然、ミソギの身体がガタガタと震えだした。禁断症状が始まったのだ。
「今度は、誰が殺されてる?」
『サスケの―――兄であるオレが次々とうちは一族を惨殺していく。残されたのはサスケただひとり。オレを憎め、敵を取りたいのなら、殺せ―――オレに復讐しろ』
今喋っているのはミソギじゃない。うちはの記憶に存在する誰かだ。
『オレは復讐者だ―――オレの目的は、ある男を必ず、殺すことだ』
「それは、サスケか…?」
バタン、とミソギが倒れた。記憶の流出が一時的に止まったのだろう。
渦巻くような記憶に、脳がオーバーヒートしてしまったらしい。
「大丈夫。呼吸はしている」
遅くなりました。と、木ノ葉の医療忍者が長十郎様に連れられやってきた。
どうしてチップになったデータを人間の少女に封印したのだろう。そんな危険なことを。根の考えは理解できない。
「オレも木ノ葉に行きたいです、長十郎様」
「かぐら、下がってください。後は大人の事情です」
「・・・はい」
ミソギが元気になったら、また会えますか?と木ノ葉の医療忍者に質問した。
『頑張ってくれたかぐらくんにお会いさせることができるよう、全力をつくします』
そういうと、木ノ葉の医療忍者は長十郎様と共に姿を消した。
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