『最近アイツ妙に色気ついてるよな』
『ちょっとからかってやろうぜ』
モブ女子グループと男子グループが、ツルギが座るいつもの窓際の席に屯っていた。
「わたし、色気づいた覚えないよ」
「ほ、ホラ!みんな早く席に戻って!ツルギも謝りなよ!」
「・・・ごめんなさい」
「チッ学級委員長のおかげで怪我せずに済んだな!ハバネロ二世!!次からは土下座して謝れよ!」
「リンが言ったの?」
「…」
リンは何も言わず、自分の席に戻った。
「席に付け!授業をはじめる!」
チャイムが教室から廊下、外に抜けて響きわたり昼の時刻を知らせる。
ツルギと同じ年のやぐらだが、木ノ葉にいる間はアカデミーには通わず通信教育で勉学に励んでいる。
演習場で相応の師の元、術の基礎を学ぶ。
アカデミーの生徒たちにはやぐらは外交促進のために来た忍だと伝えられていた。
「ツルギの様子ゥ?相変わらずだと思うぜ。オレがボケても突っ込まないし。いっつも適当だし」
三代目火影のヒルゼンは、やぐらの鈍感さに溜息をもらしながらも
「これからも二人の仲を良い方へ築くように」とだけやぐらに伝えた。
(そういえばアイツ、初めてオレと会った時より…笑わなくなったような…?)
演習の帰り道、やぐらは何気なくツルギに問いかけてみた。
「お前、ヤなことあったか?」
そうすれば、ツルギは仰天したように眼(まなこ)を開き「やなことって、…何?」
と聞き返してきた。
うわあ自覚ねえのかよコイツと呆気にとられたやぐらだったが、もともとツルギは自分と同じ立場だったと意識を戻し、彼女を元気づけようとしたが、
「いや、なんかいつもより…その」と言葉に詰まった。
立場的には自分も同じ。忌み嫌われるものとして、優しい言葉が見つからなかった。
「…リン」
そのツルギの言葉が後に、自らを死に追いやることになろうとは、その時やぐらはまだ知る由もなかった。

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