「また狸だァーーーー!!!」
「今度はテヤキさんとこの煎餅を盗んだぞ!!!」
「へへッ悔しかったら追ってくるんだってばぜぃ!!!」
「火影様!」
「また奴か。親が居ないことをいいことにイタズラばかりしおって…」
「彼のことならオレにお任せ下さい」
「兄貴分のお前なら些かマシか。うむ。頼むぞミナト」
ツルギが学校に行き始めてから数日間、木ノ葉では狸の噂が広まっていた。
教室に縛られている黄色い髪の少年。ナルトのおじにあたる少年である。
名前は、波風カイト。
「カイト!!!」
「げっなんで追いついた!!!」
「瞬身の術、成功だよ」
「あーっアニキオレにマーキングしてたな!?くっそーーー」
「なんでお前は悪戯ばかりするんだ?親がいないから、誰かに自分を認めて欲しいのか?」
「んなのかんけーねーだろ!!!オレには探し人が居るんだ!!」
「…はったりじゃないらしいな。その子は誰だい?オレに言えない人?」
「…こないだ里に移住してきたやつだ」
「それはトップシークレットだぞ。なぜお前がしっている」
「だって!!!そいつがいないと俺らは完成しないんだよ!!!」
「…そこまで知っているのか」
「それを教えたのは僕ですよ。ミナトさん」
「ミナモ。リンまで」
「でも誰なの?最近移住してきた子…まさか、波紋一族!?」
「嬢ちゃんの言うとおりだよ」
カイトが言った。ミナトは諦めたように話し始める。
「…霧隠れの里で身を隠し、霧に紛れて木ノ葉に戻ってきた。もともと木ノ葉は彼らの拠点だった。だけど、謎の病“夢遊病”が発生し霧隠れの奥へと追放された。波紋一族の女性は代々蒼い髪を受け継いでいる」
「波紋一族のツルギ。…確かに長く美しい蒼の髪をしてたな…」
「狸に化けてまでソイツをおびき寄せようとしたカイトの戦略は称賛に値する。だがこの一件で里は危険に晒されそうになった。その償いはしてもらうよ」
「どこにでも連れてけよ」
(オレはこんなところじゃ終わらないからな)
「それじゃあワカサギ先生、よろしくおねがいします」
「ええ。ありがとうございますミナトさん。…コォラ、カイト!!!」
「フン!!!」
「あーあ」
オビトに至っては教室から呆れたように声を出している。
腕を後ろに組んで背に持たれ今日の先生の仕打ちはいかがなものかと、そう考えているのだろう。
「ったく!!だいたいな、お前はいつもいつも…情けないぞ!!!先生はうちの生徒をこんな風に教育した覚えはない!!!」
「はいはい」
ブチ!!!
「このっ―――皆並べーーーー!!!今日は変化の術の抜き打ちテストだーーーー!!!」
「「「えーっ」」」
教室中からブーイングが湧き上がった。
「流石だね。一発で合格しちゃうなんて。何点だった?抜き打ちテスト」
「リン…聴く?そういう事」
「ミナモだったらいつもどおり100点かなって。また見てるの?カイトの事」
「あんなんでも一応…。アホだけど後々ライバルになるかもしれないからさ」
「そう言えばワカサギ先生。変化の術といえばカイトの専門特許ですよ」
しーん。
カカシのカウンターに、一瞬で湧いていた教室が静寂に包まれた。
「…」
「だーっはっはっは!!!」
「…自習にする」
1人大笑いするカイトを置いて、担任ワカサギは教室を後にした。
「ねえリン、カイトくんってどういう人?」
「人はいいほうだよ。親が死んでからは盗みとかイタズラとかするようになったけど」
(それって人がいいっていうのかなぁ?)
「おーいツルギー教科書見せてくれー」
「全くこの人はッ!!!毎回毎回学習能力っていうのを覚えなよ!!!はいどーぞ!!!」
「なんだよー。ケチー」
ブチッ
「「「あ」」」
ミナモとカイトに悪寒が走る。
「オビト…『逝ってヨシ♥』」
「へ?」
オビトの断末魔が教室に響いた。
帰り道。
「ってー。なんでもあそこまでする必要ねえじゃねえか!!!あの性格ブス!!!」
「オビト、言い過ぎだって」
「うるせえなあミナモ!今はアイツがいねえんだぜ。たまの愚痴ぐらいいいじゃねえか!オレが家ではどれだけこき使わされてることか!!!」
「そういえば最近オビト遅刻しないね。どうしたの?」
「さいきん道に迷ってるおばあさんとか荷物持ってるおばあさんとかいねえからな」
「お前は…」
「…まさか」
「どした?カカシ」
カカシはオビト達を置いて1人先を走った。リンとミナモは顔を合わせてその後を追う。
「オレは…どーすっかな」
オビトは決心したように、また2人の後を追った。
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